ガーデニングブログ「フランスの庭から」は、私が出会ったとっておきの庭や景観の美の魅力をみなさまにお伝えしたいという想いから始まりました。
私はパリで美術史を学んだのち帰国、美術展プロデューサーとして20年以上にわたり、印象派やエコール・ド・パリをはじめとする数多くの近現代美術の展覧会企画を行ってきました。
印象派の画家モネは「自分の最高傑作は庭である」と語りましたが、美術を仕事とする間にも、人と自然が作り上げる総合芸術である庭園の世界に魅せられるとともに創作への想いが募り、ガーデンデザイナー修業を始めます。
心機一転、再び渡仏し、ヴェルサイユ国立高等造園学校でフランス国家公認ディプロム取得後、パリ第一大学にて歴史的庭園と景観・文化財について研究、修士号を取得しました。
そして、人と自然が心地よく共存する美しい景観を作りたい、アートとボタニカルのある心豊かな暮らしをもたらす庭の愉しみ、素晴らしさをより多くの方々とシェアしたいという想いとともに、公共のスペースや個人庭に、洗練されたフレンチ・テイストを生かした植物にも人にも優しいナチュラル・ガーデンを提案しています。
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街なかで育った子ども時代は、絵を描くのと本を読むのが好きなインドア派。
ときどき訪れていた山荘では、山里の日暮れていく様子を楽しんだり、そこに咲く花や植物に興味はあったものの、虫が怖くて近づくことが出来ませんでした。
そんな私がもっと自然を肌で感じる生活をするようになったのは、若かりし日の4年間におよぶフランス留学時代に自然を身近に感じる暮らしをしてから。
普段はひたすら美術館と図書館を巡るパリでの都会暮らしでしたが、バカンスのあいだには、ガール橋の下の川で泳いだり、大西洋岸のワイルドな浜辺でのピクニックが日常にあったりした経験から、ようやく自然のなかで過ごすことの心地よさに目覚めました。
しかし、フランスでの生活から一転し、日本に戻って都会で仕事に埋没した日々を送った結果、心身の感覚から危険信号が送られてくるまでになってしまいました。
そうした体験から、マクロビからヨガ、オーガニックライフへと興味関心が広がり、パーマカルチャーにも強く関心を持つように。草木や大地の、植物の癒しの力を確信しました。
それは、『庭が大好き』であることと『自然と調和した環境づくり』を癒合させた、ガーデンをデザインする活動へと繋がっていきました。
現在は、かつて私自身が自然の心地よさに気づくきっかけをくれたフランスに活動の拠点を移し、庭園文化講座、庭園デザインとコンサルティング、庭園・緑化関連の視察コーディネイトと取材・執筆を行なっています。