
4月に入り、一気に春めいてきたフランスから久しぶりのお便りです。
今年の冬から春先にかけては、
気分も滅入りそうな寒い雨の日が多かったのですが、
ようやく気持ちの良い晴れ間がやってきました。
サクラも終わりかけのタイミング、
そろそろリンゴの花が咲いているかもしれない、と
久しぶりにヴェルサイユの王の菜園(Potager du roi)を訪れました。
春爛漫の王の菜園
王の菜園の見どころはまず、なんといってもエスパリエ仕立てなどの
フォーマルなスタイルのリンゴや洋梨などの果樹類です。
殆どが落葉樹なので冬の間は非常にグラフィックなシルエットのみ、
花の後の緑がいっぱい、また実がなった姿も魅力的ですが、
ごく短い花の季節の姿は、日本のサクラを見るような感慨があります。
今日特に美しかったのは、エスパリエ仕立てになったミラベルの木。
ミラベル(Mirabelle)はフランス東部、ロレーヌ地方が特産の小さなスモモの一種で、旬が短いためか日本で流通するものは少ないようですが、生食も、パティスリーやコンフィチュール(ジャム)になったものも美味しいので、機会があればぜひ試してみてほしいです。
菜園を囲む壁にも用の美
こちらもやはりエスパリエ仕立ての洋ナシの木々の花。
王の菜園は全体が壁に囲まれた沈床式になっているのですが、
その壁には、寒風を遮り、太陽熱を蓄積して
果樹がよく育つような微気候を作り出す大切な役割があります。
石材や石膏などを用いた壁は見た目にも美しく、
まさに用と美の調和を感じさせます。
もともとは17世紀に作られ、その後の修復や作り変えを経た壁の状態は
実は非常に劣化が進んでおり、数年前から全体的な改修が進められているところです。
そのため、現在の菜園では、
これから再び果樹が植えられるのを待つ、新たに修復された壁面が多く、
かなりスッキリした印象があります。
写真の洋ナシもエスパリエもまだまだ細い感じがありますが、
品種によって差があるものの、果樹が形よく育つには、何よりも時間が必要。
将来を楽しみに見守っていきたいものです。
春の王の菜園での楽しみは
さて、天気の良い日の王の菜園での楽しみは、、、
なんといってもピクニック!
フランス語ではVergerヴェルジェ=果樹園と呼ばれる、
リンゴやモモや洋ナシの木々が植えられた草地は、
座っているだけで、寝転んでいるだけで気持ちのよい、
適度な日陰もある、ピクニックに格好の場所なのです。
今日も家族連れや、または一人静かに、
まさに今この場にいることを満喫する人々の姿がありました。
とっておきの、シンプルで心満ち足りる日曜日の過ごし方といっても過言ではないでしょう。
みなさまもぜひ、近くの公園や、おうちのベランダでも、
ぜひピクニック気分を楽しんでみてください。
ではまた!どうぞ良い日曜日をお過ごしください♪♪
(草地に白く見えるのは、たくさん咲いている小さなひなげしの花です。)