印象派の画家クロード・モネやルノワールが描く、温かな色合い、柔らかなタッチの庭園や植物がある風景、素敵ですよね。
みんなが大好きなジヴェルニーのモネの庭のような印象派風の庭を演出するのにおすすめの植物を5つ、ご紹介したいと思います。
1. パンジーやビオラ
白から黄色・オレンジ、赤系〜青・紫、黒に近い紫まで、カラフルなパンジーは、印象派的な庭の演出にピッタリ。地植えにもコンテナーの寄せ植えにも向きます。10月頃から翌5月までと品種によってカバーできる季節が長く、寒い時期にも庭に彩りをそえることができ、また花期が長い優れものです。花殻摘みをすれば次から次に花が咲くのでこまめにお手入れしてあげましょう。ざっくりと、花弁が大きいのがパンジー、小さいのがビオラというイメージでしたが、最近は小さなパンジー、大きなビオラも出てきている様子です。
2. ワスレナグサ(Myosotis)
小さな青い花の群生が春から夏にかけての庭を飾る、昔からガーデナーに愛されてきたワスレナグサ。本来は多年草ですが、夏の暑さで枯れてしまうため日本では一年草扱いです。が、直播きで育てることが出来、こぼれ種で増えるほど丈夫なので、ガーデニング初心者さんにもおすすめの植物です。品種によって草丈も10cm〜50cmほどと幅があり、グラウンドカバーとしても、春先の球根花や、その後のバラなどのコンパニオンプランツとしても優秀。増え過ぎてきた時には、適切なコントロールに注意です。
3. スイレン(Nymphaea)
印象派の絵画の中でも特に人気が高いのはモネのスイレンの絵でしょうか。クロ・ノルマンの花の庭を作ったあと、モネは土地を買い足し、スイレンが咲く池の庭を作ります。そして、分刻みで変わっていく光と水の中にあるスイレンの表情を捉えた膨大なシリーズ作品を生み出していきます。モネが愛したスイレンは温帯スイレンで、耐寒性もあり、多少水面に氷が張るくらいであれば耐えられます。日当たりを好み、花が開くのは日中の光のある間。丸い葉っぱが水面に浮かぶ上に、白からピンク、淡い黄色などの繊細な花が漂う姿はラブリーです。
4. チューリップ(Tulipa)
様々な形が色が選べる春の球根花チューリップ、その品種数はなんと6000種近くもあるのだとか。遠く17世紀のオランダのチューリップマニアの狂乱を経て、現在もチューリップはマニアたちを魅了して止みません。植え付けは10月〜11月頃ですが、お気に入りの品種を確実に入手したい場合は、受注の始まる8月〜9月頃にはオーダーしましょう。
出遅れると人気の品種は売れ切れだったり、球根の状態が良くないものが届く可能性も高まってしまいます。ちなみに私、昨年はぐずぐずしているうちに出遅れてしまいました。ちなみにチューリップは毎年同じようには咲き続けないので、1年ごとと割り切りるとコストパフォーマンスが必ずしも良くはないのです。でも、今年はがっつりオーダーしてみようと気合いを入れています。狙っているのは古典的な静物画に描かれているような雰囲気のレンブラント・チューリップや、フリンジが可愛いパロットチューリップ。それと、チューリップだけれども宿根草扱いできて切り花にも向く、シックな黒紫のクイーンオブナイトなどを狙っています。
レンブラント・チューリップは縞々の入ったこんな感じです。しま模様は実はウィルス病に感染した球根のチューリップで出るものなのですが、17世紀当時は謎だったので、非常に貴重なチューリップとして珍重され、法外な価格で取引されたのだそうです。
現在は品種改良されたものになっています。
5. フジ
春に紫や白の房状の花を咲かせるフジはヨーロッパでも昔から愛されている落葉性のつる植物。コテージガーデンの壁を這い上がって華やかに咲く姿は実にロマンチック。日本では平たい藤棚で仕立てられることが多いですが、ヨーロッパではよく壁をつたわせて仕立てられているのを見かけます。モネの庭では、池にかかった太鼓橋の上をフジの花が覆う春の風景がそれは見事です。(散策者たちが皆集まってきてしまうので、写真を撮るのは至難の技ですが;;)
印象派的な雰囲気の庭を作るおすすめ植物たち、いかがでしたでしょうか。
育て方も比較的難しくなく、手に入りやすいので、昔から庭で愛され続けてきた、言われてみたらそうだよね、というような良く知られた花々だったかも知れません。印象派風にはカラフルな春らしい優しい色合いがイメージされますが、一方で、色合いや花姿は印象派の時代からさらに進化している演芸品種も多くあるので、例えば白と黒紫色などで、現代的なおしゃれ感を加えるのも面白いかと思います。庭の花選びのちょっとしたヒントになれば幸いです。