ローマの邸宅ガーデン、コロンナ庭園

久しぶりにイタリア、ローマを訪れました。
ローマは街を歩いているだけで旧所名跡が目白押し、パリを超える歴史都市と言っていいと思います。ローマ時代の遺跡からルネサンス、バロックに続いてクレシェンドになっていく様々な建築物と美術作品の蓄積に、この街に集まった富の莫大さを感じます。中でも、そのローマらしいゴージャスさに圧倒されるコロンナ宮殿と庭園は、お気に入りのひとつです。

コロンナ宮殿って初耳だわ、と思われる方もあるかもしれません。が、実は映画好きな方なら中を見たことがある可能性も。
永遠の名作「ローマの休日」のオードリー・ヘップバーン演じる王女様が最後に記者会見したその会場は、コロンナ宮殿のメインホールなのです。迫力に満ちた豪奢そのものの装飾空間、でも嫌味なく上品な豪華さが素敵です。
映画はモノクロですが、見比べてみたら今も殆ど変わらない姿なのにも感銘を覚えます。
コロンナ宮殿

このようなゴージャスなインテリアの邸宅の庭園はいかに?外に出てみましょう。

ローマの街は、かつて街の防御に重要な役割を果たしたセブンヒルと呼ばれる7つの丘に囲まれており、高台からはクーポールが並ぶ街の景色が見渡せます。コロンナ宮殿は古代には宗教的な重要性を持っていたクイリナーレの丘 (Quirinal Hill)に面して建てられており、道路を挟んだ丘の斜面に造られた庭園は、典型的なイタリア・テラス式庭園です。建物からは幾つかの橋で繋がっています。

出口正面にはシンメトリーの配置の古代彫刻。その横が庭園の入口になっています。
建物に沿って並ぶマグノリアの木々は、艶やかな葉の光沢が美しく、常緑なので常に爽やかな木陰を作っています。
コロンナ庭園
園路を進んでいくと、丘陵部の上段に上がる2つの階段の中央に、16世紀後半に造られたニンフェウム(Nymphaeum)と滝が見えてきます。ニンフェウムとは、古代ギリシャ・ローマ時代には水の精霊(ニュンペー)を祀る神聖な場所として設けられていた装飾的な建築物や泉のこと。ルネサンス、バロック期には豪華な庭園の要素として発展したものです。
コロンナ庭園 ニンフェウム
水の流れを中心に、様々な古代風彫刻とオレンジのコンテナーなどに飾られた階段部分。賑やかです。

コロンナ庭園
モザイクで飾られた中央のグロット(人口洞窟)には、流れの水源となっている控えめな噴水の泉があります。

水の階段の後も、時折、古代ローマの石棺などの遺跡を横目にみながら、ひたすら登り坂は続きます。
コロンナ庭園
通路の両脇を縁取る、ゲッケイジュやトベラ、ツゲ、トキワガシなどが混じった高い垣根や、イトスギの植栽などにもイタリア庭園らしさがみられます。
コロンナ庭園
登り切ったテラスから見える、イタリアカサマツを前景にしたローマの景観。


テラス階奥にもツゲの生垣が縁取りのフォーマルガーデンが続いていました。テラコッタの植木鉢がステキ。


ニンフェウムの上部から見下ろした庭園。非常にきっちりしたフォーマルガーデンながら、大きなわさわさとした樹木のナチュラルな感じの効果か、どこか自然にリラックスできる雰囲気もあります。

ペトラルカが語り、ミケランジェロやベルニーニらの巨匠たちも描いたというコロンナ庭園は、歴史的な沿革もさることながら、構造にもディテールにもイタリアらしさが溢れ、端正なエレガンスとナチュラル感が魅力の緑の空間。ローマ市内で気軽に訪れることができるコンパクトなアーバン・ヒストリカル・ガーデンです。

コロンナ宮殿
おまけに宮殿内、天井のフレスコ画から。建物の中でも自然を感じられる動植物の描写がたくさんあって、心和みます。
ご高覧いただきありがとうございます。それではまた!

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