ル・プリウレ・ドルサン修道院はベリー地方にあるモナステリーガーデン。中世の庭からインスパイアされたポタジェ(菜園)をはじめ見どころがいっぱいのお気に入りの庭です。
5月初め、春のポタジェ
フランスの春の進行は少し遅め。夏野菜の植え付けは、暖かくなってきていると感じても、サント・グラースの日(毎年5月11日〜13日)を過ぎてからにするようにと昔から言われています。
なるほど、5月初めのポタジェは本格スタート前のウォーミングアップといった感じで、だいぶスッキリしています。野菜がモサモサ育っていると、当然そちらに注目してしまうのですが、まだスッキリしたこの時期は、ポタジェの構造をさりげなく確認するのに絶好の機会です。
長方形のポタジェ(菜園)の中には、木枠で囲まれた約3x3mの正方形の区画が並びます。2枚の木板を渡して9分割した作業もし易そうなサイズ感の正方形に、サラダ菜などの野菜が行儀良く整列しています。中央にはレタスが円形に植えられていたり、シンプルな中にオーナメンタル感覚が発揮されていて楽しいポタジェです。
こちらの中央のサークルには、花をつけた春の野草の行者ニンニクが可愛く並んでいます。クマが冬眠から覚めて、初めて口にする野草だそうで、フランス語ではail d'ours(クマのニンニク)と呼ばれています。ガーリックの代わりに料理に使えるそうですが、葉っぱがスズランによく似ています。スズランは毒草なので混同しないように要注意の野草でもあります。
また別の区画では、ミョウガを発見!
ポタジェの常緑のハーブ類の効用
まだ小さな春の野菜に比べて、常緑のローズマリーやタイムなどハーブ類は、ボリュームのある緑でポタジェを賑やかにします。
多年草のアーティチョークも、グラフィックな葉っぱの形が素晴らしく、庭のオーナメンタルとして活躍する野菜のひとつ。
特に緑がまだ少ないこの時期、圧巻の迫力を見せていました。
手前の仕切り棒の頭にかぶせてあるのは、小さくて見えにくいのですがエスカルゴの殻。自然の素材を合わせつつ、ユニークな柵が出来上がり。
木材を多用した空間構成の魅力
お気づきのように、ル・プリウレ・ドルサンの庭の大きな魅力は、木材やレンガを多用した温かみのあるオーナメンタルと実用性を兼ね備えた空間構成です。
特に、サイズも様々な自然の木枝を創意あふれる支柱に組んだものは、実用的かつ装飾的で、いい働きをしています。
異なる庭のコーナーを隔てる柵は、ブラックベリーを這わせたトレリスを兼ねて。足元にはイチゴがいっぱいで美味しそうな植栽。
新葉を出し始めた葡萄の支柱も木枝を利用。中世の修道院は自給自足が前提、ミサに使うワインづくりのための葡萄栽培もしていたでしょう。
自然素材と端正なフォルムの組み合わせの魅力
木材やシデの生垣など、自然の素材を多用しつつ、全体の構成はあくまで左右対称の幾何学形を基本にしたフォーマル・ガーデンが、端正ながら素朴な温かみのある独特の魅力をつくっているのだと思います。
気になるディテールが山のようにあるのですが、いつまでも終わらなくなってしまうので、今日はショップで見つけたアイディアグッズをシェアしてお開きにしようかと思います。
ショップにも注目
フランスの観光庭園のショップやカフェは、このところ頑張っているところが増えて来ましたが、イギリスなどに比べるとまだ充実度が薄い印象があります。そんな中で、こちらは書籍やガーデニング用品、ローカルな美味しいものなどが揃ったショップも結構充実しています。
今日見つけたアイディアグッズはこちら。
おや、なんだろう?と思ったら、こんなふうに使います。
危険防止のための支柱のてっぺんのプロテクション。自分で陶芸をやる機会があったら、作ってみたら楽しそう❤︎
こんな風にコンテナーに挿しても面白いアクセントに。
駆け足でしたが、どこを眺めてもシアワセな現代のモナステリー・ガーデン。心の滋養を思いっきりいただいた感じです♫