王の菜園を久しぶりに訪れてみると、ちょうどリンゴの花盛りです。
近くにいてもタイミングを合わせて来訪するのが難しいので、かなり嬉しい。
エスパリエ仕立てのリンゴの木々に花咲く姿は、ちょっと不思議な感じかもしれませんが、なかなかに見応えあります。ハチもぶんぶん飛んでいて、受粉仕事の最中でしょうか。
季節はどんどん進んでいくものの、今週のヴェルサイユは最低気温が2〜3度、最高も12度止まりで殆ど冬のよう。王の菜園でこうした寒さや寒風から果樹を守るのが、全体を囲う壁と沈床式の構造です。
王の菜園のひみつ〜四方を囲む壁と沈床式構造
庭園全体の写真を見ると、全体(9ヘクタールほど)が壁でしっかり囲われているのが分かります。
果樹園や菜園になっている栽培区画はさらに一段下がった沈床式になっています。
庭園の中心部分の野菜の栽培区画はまだまだすっきりした状態。
中央部分を超えて、さらに進んでいくと、その先の果樹園も階段で降りる沈床式庭園になっています。
庭園の主要な壁は痛みが激しかったため、近年修復工事が行われたところです。元来石灰や石を使って作られていた壁に、その後セメントなどを用いた修復が加わった結果、異素材が上手く馴染まずに却って亀裂や痛みの原因になるなどの経緯を経て、今回はすっかり綺麗に修復されて、再び果樹が定植されるのを待つ壁部分。
これらの壁は、エスパリエ仕立ての果樹の支えになるばかりでなく、冷たい風を防ぎ、日中の太陽熱を蓄積し、暖かさを保って、朝夕の温度差を緩和し、果樹栽培に適した微気候を作り出しているのです。
パクレットと呼ばれる雛菊がいっぱいに咲き、フレッシュなグリーンと白が混じる芝生と、白っぽいリンゴの花のポタジェの春風景。本格的な春を感じる、気持ちがすっかり明るくなる風景です。
ポタジェの奥ではリラの花も咲き始めていました。フランスも春です。