シャン・ド・バタイユ城、夢のフレンチ・フォーマルガーデン|4

ジャック・ガルシアのシャンドバタイユ城の庭園の最終回はイタリア風庭園です。

瀟酒なイタリア風庭園

ヴェルサイユ宮殿の庭園をみても分かるように、フレンチ・フォーマル・ガーデンが大いに発展したそのベースには、イタリア庭園からの影響があります。

ギリシア・ローマ文化はヨーロッパ文化全体の揺籃であり、様々な創作の着想源であり続けました。アルプス山脈で隔てられた南欧の雰囲気は、北側の人々の憧れでもあります。シャンドバタイユ城には、憧れの南イタリア的な雰囲気が瀟酒に表現されたイタリア風庭園があり、これがまた秀逸です。

フォーマルな構成の中でも、アプローチの並木がマツに変わると、一気に南仏や南イタリアの雰囲気になってくるのが面白い。

ツタの花綱飾り(フェストゥーン、ガーランド)、使用している植物はごくシンプルなのにゴージャスな雰囲気です。

古代ローマ、ヴィラ・アドリアーナの水景

正面中央に古代ローマの遺跡風の建物がある広い長方形の池、この風景はヴィラ・アドリアーナ(ローマ近郊のティボリにあるハドリアヌス帝の別荘、映画「テルマエ・ロマエ」にも出てきますね)からインスパイアされたものだそう。確かにそんな雰囲気が実に良く再現されています。


建物の内部も抜かりなく、驚異の部屋のような鉱物や石や貝殻で飾られたゴージャス空間。

遺跡風建物の両脇はマツの木陰のテラスになっていて、ここもまた素敵。リュスティックかつハイエンドなリゾートホテルに来たような感じも。夕陽を眺めたりしながらずっと佇んでいたい。。。

ブドウ畑のバラの役割

さて、長方形の池の側面には、ブドウ畑のように設えられています。これはイタリアというよりはちょっとフランスっぽいのかも。(オープンで日当たりが良い場所なので、ブドウ畑には最適です。)そして、それぞれのブドウの木の列の端には、バラが植えられています。この場所では装飾的意味合いが大きいと思いますが、実際の生産用のブドウ畑でも、バラは環境の変化や病気などにブドウよりも敏感に反応するので、ブドウの健康状態を測るためにバラが一緒に植えられていることがよくあります。

様々な庭園の歴史からのエレメントを自由自在に駆使して、20世紀終わりに作られたこの庭園空間、歴史的真贋を考えるとフェイクでもあるのですが、現代的なエレガンスな美感覚に統一された、どこまでも破綻なく調和の取れた完成度は、やはり素晴らしいと思います。それではまた!

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