シャン・ド・バタイユ城、夢のフレンチ・フォーマルガーデン|3

「温室」はお城の庭のマストアイテム

ヨーロッパの庭の温室の歴史は古く、遡れば古代ローマ時代、キュウリが大好物だったティベリウス帝のために、ローマで一年中キュウリが食べられるように、薄く透光性の高い石板を使って温室的なものが作られたのが始まりと言われています。

17世紀のヴェルサイユの庭園でも、南欧から運ばれたオレンジやレモンなどの柑橘類(食用としても装飾としても珍重されます)を冬の間保護するための「オランジュリー」が作られます。当初は北風の遮断、保温のための壁の厚い建物だったものから、ガラス張りの「温室」が現れるのは17世紀も末から18世紀になってから。ヴェルサイユでは、最晩年のルイ14世に献上されたコーヒーを栽培するために最初のガラスの温室が作られ、大のコーヒー好きになった孫のルイ15世は、トリアノンの温室でコーヒーやパイナップルを栽培させました。

希少なエキゾチックな植物の栽培に必須の温室、当初は王侯貴族の間に流行し、19世紀にはガラスや鋼鉄の工業化が進んで、富裕層全般の庭園のマストアイテムになっていきます。

また植物栽培の場としてだけでなく、ジャルダン・ディベール(Jardin d'hiver 冬の庭)と呼ばれる、緑で飾られたサロン的な、お客をもてなす、応接やパーティーの場としても利用されるようになります。

シャンドバタイユ城の温室

シャンドバタイユにも、シメトリー(左右対称)構造の大きな立派な2階建ての温室が設置されています。

正面中央の噴水がポイントの、すっきりとした外観。

外側からも小さなテラスに上がって、庭の景色を見晴らせます。
が、何よりもびっくりするのは入ってみてから。


ガラス屋根の下には木生シダに囲まれた吊り橋のような通路。トロピカル&エレガントな別世界が広がります。


シダの並木の突き当たりに見えてきたのは....

突き当たりのサロンもゴージャス。


温室内にはエアプランツやビカクシダや着生ラン類など人気のインドアグリーンも多く、スタイリッシュな雰囲気です。
私は特にビカクシダ(ビカクシダの記事を発見⏪ご興味ある方はこちらへ)がお気に入り。

階段を降りるとまた、ヨーロピアンテイストのオリエンタル趣味と言ったら良いのか、とにかく素敵なサロン・スペースが。ビビッドな色使いも上品。

温室のサロンには入れないのですが、ガラスの外から覗いただけでも気分が上がる、素敵なインテリアです。外観のすっきり感と、温室内のゴージャスなインドアグリーン&サロンのインテリアのコントラストに驚き感が演出された、見逃せない場所です。(最終回に続く)

 

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