(前回見た)城館正面のビスタのエリアの次には、脇のボスケ(樹林)に入ってみます。
スフィンクスの並木道
名前の通り、スフィンクス型のトピアリーが並び、奥のエジプト的な彫像がフォーカルポイントになった、エジプト・インスピレーションの緑の部屋といったところ。
本来は両脇には水盤に水が並々とあるのだろうなあと想像すると、エキゾチックな、シンプルだけども、ゴージャスな空間です。
一目でスフィンクスと分かる造形なのだけれども、なんとなくツノがくるっと曲がった雄羊のようでもいて可愛らしいトピアリー。
庭園のトピアリーや刈り込み生垣は、全体的にイチイとツゲ(ボックスウッド)とクマシデという、ベーシックな樹種で構成されています。新緑の季節だったせいか、このベーシックな組み合わせの葉っぱのテクスチャーのコントラストだけでも新鮮に美しい。永遠のベーシックと言って良いかもしれません。
クマシデとイチイの刈り込み生垣。
ここを抜けると、ダイアナとアポロンの広場が見えてきます。
ダイアナとアポロンの広場
広いスクエアな芝地の広場の中心には彫像が置かれ(ダイアナかな?)広場の周りを大きく囲むのはオーナメンタルなポタジェ、そして一対の大きな温室が広場を挟んで向かい合っています。
オープンスペースをポタジェで囲むのはあまり見なかったような気がするのですが、なかなかいいなと思いました。
遠くに小さな緑のアーチがたくさん見える部分がポタジェ・ボーダー。
オーナメンタルなポタジェ・ボーダー
近づいてみると、リンゴなどのエスパリエ仕立ての果樹がレイズドベットを囲む、こんな感じのオーナメンタルなポタジェが続きます。それぞれが一つの庭としても立派に独立できる密度の高い設計でありつつも雑多にならないのは、シンプルな基本設計が貫かれているからでしょうか。
それにしても、フォーマルガーデンの伝統的なボキャブラリーで作られた現代のガーデンは、重さや古さを感じさせず、常にクラシカルな上品さが漂う庭園空間が創出されているのに感心します。次は温室を覗いてみましょう。(続く)
*ジャック・ガルシアの関連書籍: