今年より不定期でヴェルサイユ・ガーデンウォークと名付けた庭園見学会を始めました。で、この週末訪れたプチトリアノンから、散策の記録を少々。
プチトリアノンといえば、マリー=アントワネットが自分の趣味に合わせて作らせた英国式庭園や、農村風暮らしを楽しんだという、王妃の村里(アモーHameau)が有名です。
でも、まずはフランス式のフォーマルガーデン(整形式庭園)へ!
プチトリアノンの庭園の始まりは、フォーマルガーデン
プチトリアノン離宮の西側は、整然としながらも、規模的にはこじんまりとしたオシャレなフレンチ・フォーマルガーデンになっています。パビヨン・フランセーズ(フランス亭)やサロン・フレ(涼亭)といった、軽食を楽しんだり、休憩したりするために建てられた瀟洒な東屋をフォーカルポイントに、宮殿に向かってカーテン型に剪定された並木とボックスウッド(柘植)の囲いで仕切られた花の植栽が並びます。
フォーマルガーデンからプチトリアノン離宮を眺める。
整ったセイヨウシナノキの並木が空間を仕切る。
こちら右奥はパビヨン・フランセと呼ばれる東屋。ルイ15世がポンパドゥール夫人のために作らせた東屋でしたが、デュバリー夫人ののち、マリー・アントワネットが引き継ぎ、ここでパーティー三昧を楽しんだとか。整然とした空間の中で、ちょっと注目したいのはこの植栽部分。
植木鉢を使った伝統の植栽術
遠くから見る限りでは、特に変わったところもないのですが、近寄ってみると実は植木鉢が並んでいます。
ここでは、ルイ15世の時代(18世紀)にグラントリアノンの花の植栽で行われていたように、植木鉢仕立ての植物を配置してのアレンジが見られるのが興味深い。植木鉢の間はマルチングが埋めています。
パビヨン・フランセの向かいには、パビヨン・フレ(涼亭)と呼ばれるグリーンのトレリスで飾られたいかにも涼しげな建物。
ここは夏の食事処だったそう。通常中には入れませんが、覗けます。室内の壁の装飾なども可愛らしい。
パビヨン・フレの前のやはりシンメトリーに丸い池を囲んだ花壇では、ラベンダーなどで夏らしい爽やかで明るい雰囲気の植栽が待っています。こちらは植木鉢ではなくちゃんと地植えになっていて、水の蒸発を抑えるためのマルチングが施されています。
整然と整えられた並木と生垣と花壇、優雅な東屋がポイントのプチトリアノンのフォーマル・ガーデンは、アンチームで優雅な雰囲気と可愛らしいディテールが魅力的です。
そして、季節の変化も見逃せません。
秋のプチトリアノン庭園の魅力
もう少しすると、並木や生垣の木々も黄葉し、落葉していくのですが、その時期もまた大変美しいのです。晩秋のまた違った表情もぜひ楽しんでいただきたい風景のひとつです。
写真は、秋、黄葉の時期のプチトリアノンの庭園。