さりげない実力派、キョウチクトウの魅力
南欧風の植物といえばまずオリーブの木などが思いつきます。他にも色々あるのですが、地味ながら万能な南欧風の花木ということで、キョウチクトウを一押ししてみようかなと思います。
キョウチクトウは毒性があるのですが、比較的丈夫で公害にも強いので、日本でも一般的に方々に植栽されている植物のひとつです。それゆえ敢えて目を向けることが少なかったキョウチクトウ。
しかしこれは、南欧の風景の雰囲気を醸し出す万能定番であったのだな、としみじみと感じる今日この頃です。
キョウチクトウとの出会い、というほどのことはなくとも、何となく知っている花木である場合が多いのではないかと思うのですが、私の場合もそうでした。キョウチクトウとの出会い直しのきっかけは、フランスでのガーデンデザイン留学の際にインターンをした南フランスのプライベート・ガーデンでした。邸宅の正面玄関に至る通路の両脇を飾っていたのが大きく育ったキョウチクトウ。街中の特徴のない公共の植栽という先入観があったので、こんな風に使っていいのか、と印象に残ったのを覚えています。
もちろん南フランスでも、道路中央分離帯の植栽などにも大々的使われています。
しかしそれ以上に、街角の植栽や個人庭の植栽でも、実に懐の広い魅力的な表情を見せているのです。
例えば、こちらはコルシカ島の海の近くの友人宅テラス。テラスを囲むのは目隠しを兼ねたキョウチクトウの生垣です。ごくシンプルにピンクのキョウチクトウのみ、で、このように素敵な雰囲気のテラスに〜。
こちらは地中海つながりでギリシャの島の街のなかのカフェのテラス。ヤシの木と混じっているのはやはりキョウチクトウ。遠くにはブーゲンビリアがちら見えしています。(ちなみにブーゲンビリアも一気に南欧リゾートっぽさを演出する花のひとつかと思われます。)
そして、海辺ばかりでなく、南仏プロヴァンスでもやはりキョウチクトウが大活躍。白花をチョイス、また樹形がかなり透かしてあるのが上品な雰囲気で、モダンにリノベーションした石造りの古民家のファサードの感じにもさりげなくよく合っている。
このように例をあげればいとまないですが、カラフルに華やかに、ナチュラルに、上品に、とシチュエーションにしっかり寄り添うキョウチクトウ。花期が長く、丈夫で手入れがラクなしっかり者、というところももちろん、選ばれる大きな理由です。