フランス最大級のガーデンフェスティバルの続きです。
二十数個のショーガーデンの中から、前回は一つだけ「オスモス・ガーデン」を紹介しましたが、「バイオミメティクス」という今年のテーマゆえか、コンセプト追求型のガーデンが多かったような気がします。
こちらは「根っこへの回帰(直訳ですみません)」と名付けられたフランスのガーデンデザイナーたちの作品です。中央のブルーの有機的な形の構造物は樹齢100年以上の大きな木の根っこをイメージしており、地下の見えない部分で起こっている木々の根と繋がった菌類・微生物との共生、お互いが異なるエネルギー資源を作り出して融通しあっている、を象徴しているのだとか。科学的にこうした共生関係が明らかになってきたのはここ100年位のことで、我々が日常あまり意識していないことだけれども、その共生・共助の関係性に学ぶことがあるのではないか、というメッセージが込められています。
中でも、ミツバチが好む植物の中にも入る、この白い西洋オダマキがとってもかわいい。
今年に限ったことではないのですが、他のショーガーデンにも様々な色合いの西洋オダマキを見かけました。元々大好きという贔屓目も入っていますが、強く印象に残ります。他にも、写真の中にも入っているネギ坊主みたいなアリウムも多数見かけました。こちらは乾燥にも強い強靭でスタイリッシュな花として活躍しています。ある年にはどこもかしこもハニーサックルだったような記憶も蘇ってきました。。。
ところで、植物にもトレンドってある?
モードの世界ではトレンドの色とか形がはっきりしています。自然発生する流行もありますが、大半は計画・発信されたものです。ガーデンの植物の世界はどうなんだろうというと、やはりトレンドがあります。振り返って、必ずおばあちゃん宅にあった種類の植木、のようにある時代の雰囲気を体現するようになるのもあれば、今年のガーデンショーではこの花が目立つなあ、というように瞬間的に存在感がクローズアップされている花(局地的かもしれないし、全世界規模で広がっているのかもしれない)まで、様々です。
野原のようなイメージのナチュラルな植栽が注目され、グラス類が庭や街のパブリックスペースで積極的に使われるようになったのはここ20年位の出来事だったように思います。最初は斬新さで注目され、ローメンテナンス志向が定着するに従って今や広く普及して、よく見る当たり前の風景になりました。どこまでがトレンドで、どこからが普通なのか、まあどちらでもいいのかもしれません。
全体的にはここしばらくのところ、メンテナンスがラクな、夏の暑さや日差しと乾燥に強い植物、ということで地中海性の植物たちが広く脚光を浴びています。例えば、ユーフォルビアやカレープランツなど、形も色合いもユニークで、環境が合えば増えすぎて危険なほどの壮健な植物たちですが、逆に一般的には日本の湿気には弱そうな様子なのがちょっと残念。でも品種がたくさんあるので、育てやすいものもあるかもしれませんね。
ちなみにショーモンの庭園に併設されたガーデン・ショップは、ガーデン関連書籍やスーヴェニール関係が大変充実していますが、花苗や種子も販売しています。たとえ実際持って帰れないときでも、ウインドウショッピングだけでも一興としておきましょう。
(次回に続く)