前回からの、バイオミメティクス・ガーデンの続きにしばしお付き合いください。
蟻塚ガーデンハウス
ユーモラスなフォルムの構造物に目が止まる、ドライな感じのガーデンは、その名も「蟻塚の庭」。アフリカでは9mにもなる大きな蟻塚を作る種類の蟻があるそうですが、この蟻塚が実は自然に温度調整がなされる構造で作られていることが最近の研究で分かっています。周囲が気温40度を超えても、中は比較的涼しく保たれるのだそうです。この構造物は、蟻塚の天然クーラーの構造に学んだサスティナブルのガーデンハウスなのでした。有機的なラインが、なんとなくバーバパパのお家の様子を思い出させ、楽しい気持ちになってきます。
テーマに答えるという流れということもあるのですが、やはりこのところの温暖化や気候の激化に対応する仕組みを追求した提案が多いのが今年の特徴でしょうか。
Olla(オヤ)にも注目!
ディテールにも様々な工夫があり、これは他のガーデンのものですが、オヤ(Oya)と呼ばれる素焼きの壷です。土中に埋めて水を入れておくことで、周りの土が乾くとゆっくりと中の水が外に浸出して、緩やかな水やりができるというエコなガーデニング・グッズです。水場が遠い場所に若木を植えた時にも便利です。最近はパリのインテリアショップなどでもカラフルな小さなオヤが並んでいます。素焼きの表面から水がゆっくり浸出していくという原理が大事なので、わざわざ買わなくても既存の素焼きの植木鉢などでも応用もできそうなのがまた嬉しい。
大樹の下のランチタイム♪
さて、ショーモンのガーデンフェスティバルの良いところは、ランチタイムもしっかり楽しめるようになっていることです。毎年メインレストランでは、ローカルな食材を使ったガストロノミーなメニュー、しかもフェスティバルのテーマに合わせたレベルの高いクリエイティブなお料理が楽しめます。
しかし、今年はコロナ禍が続いていることもあってか、メインレストランはオープンしておらず、セルフサービス形式のオープンエア・レストランのみが稼働している形でした。お腹が空いたし、歩き疲れたし、でこちらへ。表紙の写真はレストラン沿いの長い長いバラのアーチ。
スタイリッシュな木陰のテラスレストラン。めちゃいい感じです。
ビオでローカルな食材にこだわったメニューはこちら。メイン(チキン料理)がちゃんと写ってないけれど、黒っぽいのはアントレ(前菜)の小豆を使ったサラダ、とデザートのフルーツサラダ。折角だからロワールのワインもちゃんと飲みます(笑)。デザートはもっとパティスリーっぽいのもありましたが少々カロリーに気を使ってみました。この後カフェもつきます。
食器類は使い捨てになってしまうけど、食後のゴミ処理には分別コーナーがあり、包装素材もできるだけビオデグラダブル(微生物分解される)素材を使ったりと、サスティナブル・エコロジカルへの取り組み努力が見られるのも好印象です。
何よりも素晴らしかったのは、見上げるとこの風景。
緑の木陰のランチは本当に気持ちよいです。
ガーデンフェスティバルを一回りした後も、霧が出る谷間のアートインスタレーションやグラスハウスなど、まだまだ見所が沢山あります。一日だと、あれもこれも見ようと走り回っているような気もしてくるので、二日ぐらいあるとさらに良いかもしれません。(ということで、まだ続く。)