ヴェルサイユ大噴水ショー
とにかく広大なことで圧倒されてしまいがちな
ヴェルサイユ庭園の鑑賞のポイントのひとつは「水」。
日本庭園でも池泉は欠かせない要素ですが、実はヴェルサイユの庭園でも噴水は非常に重要な存在です。
というのも、起伏が少なく、河川からも遠いヴェルサイユの地は、大量の水を引こうとすると、それは大変な技術力と労力と財力を必要とすることでした。
ヴェルサイユの庭園のそこかしこに作られた噴水は、当時の最先端の技術力と財力を誇示する仕掛けでもあったのです。
そんなヴェルサイユの噴水が盛大に稼働する姿を鑑賞できるのが
毎夏恒例のヴェルサイユ大噴水ショーの時期。
例年、5月末以降10月頃までの毎週末、夏休み期間はさらにヴェルサイユ大噴水ナイトショーも加わり、祝祭の場だったヴェルサイユの庭園の華やかな雰囲気に出会えます。
(*大噴水ショー時も、噴水によって稼働の時間帯が違っていたりするので、スケジュールは要チェックです。)
庭園を蘇らせるごとき水の効果
大噴水ショーのある時は、それを狙って来訪者も増えるのですが、
(祝祭と人だかりは切り離せないものです。。。)
それでも噴水がない時とある時では、
庭が眠っているか、起きているのかくらいの印象の違いがあります。
ルイ14世の水のしつらいへのこだわりもあって、
もともとヴェルサイユは水の庭とも言われるほどでした。
[宮殿建物に至近の水のパルテール]
フレンチ・フォーマルガーデンでは、通常、城館のすぐ近くには刺繍花壇が設置され、城の窓からも、その美しい模様が見られるような構成になっています。
ヴェルサイユの庭園の宮殿の建物に一番近い刺繍花壇に当たる部分は、花壇の代わりに、大運河へと続くグランド・パースペクティブの始まりの水のパルテールが配されています。風のない日には、静かな水鏡となり空を映し、広々した空間をさらに広げ、噴水が上がれば、華やかさと賑わいが訪れます。
その先にも、中心軸の上にリズムを変えるかのようにいくつかの池泉が配されていて、また、全体の庭園の構成上の要所を押さえて、池泉や噴水が設けられています。ヴェルサイユの庭園、実は池泉と噴水あっての庭園と言っていいくらいです。
[ラトナの噴水を通って、大運河に続く眺め]
ということで、時期にもよりますが可能な限り、湧き上がる噴水とともに、覚醒したヴェルサイユの庭園を訪れてみる、これはおすすめです。
ヴェルサイユのボスケを巡る絶好のチャンス
また、大噴水ショーの良いところは、普段閉じているボスケ(木立)が噴水とともに公開されることです。ですので、より完全なかたちに近く、ヴェルサイユの庭園の全貌を見て回ることができます。
13ほどあるボスケについては、また個別にご紹介していきたいと思います。
それぞれに異なる世界観が展開されているのが面白いところです。
・舞踏の間のボスケ
・エンケラドスのボスケ
・アポロンの水浴のボスケ
・三つの噴水のボスケ
・コロネード(列柱)のボスケ
・水の劇場のボスケ
などなど。