世界中の樹木を集めたシェーヴルルー樹木園
パリ近郊のヴェルサイユには、宮殿の庭園や公園、王の菜園に加え、世界中の木々を集めたシェーヴルルー樹木園があります。200haの広大な敷地に、2500種の植物コレクションを抱ええる樹木園、フランス語のシェーヴル(Chèvre=ヤギ)ルー(loup=オオカミ)という地名が、なんだか赤ずきんちゃんの森を思わせる、かつては本当に狼が出る場所だったに違いない(これは勝手な想像)。
シェーヴルルー樹木園の歴史
実際の所は、17世紀、ルイ14世の時代には、トリアノン宮殿の噴水のための貯水池が作られた場所でした。その後の変遷ののち、20世紀に入ってからはパリ植物園を所有する自然史博物館の管轄の樹木園として整備され始めるも、世界大戦中には食糧難対策で市民の家庭菜園に提供されたり、パリ植物園付属動物園の草食動物たちの疎開先になったりしたため、多くの希少な植物コレクションが失われてしまったのだそうです。
戦後には、自然風の植栽計画が再度立案され、学術目的のために世界中から集められた樹木類の観察・実験の役割を担う場となりました。一般公開が始まったのは2008年からで、春から秋にかけてのシーズン中は、ヨーロッパゾーン、アメリカゾーン、アジアゾーンなど広い敷地の中の様々な風景を散策することができます。
パリ植物園のナーサリー
また、一般公開ルートには含まれていませんが、シェーヴルルー樹木園には、パリ植物園のナーサリーという役割もあります。広い敷地の奥には、これまた広い温室が並ぶナーサリースペースがあり、専任の庭師たちが植物園のボーダー植栽のために、固有種、園芸種含め600〜700種、約6万本の草花を毎年生産しています。
パリ近郊のおすすめ森林浴スポット
さて、樹木園の良い所は(植物園と同じく)、樹木にネームプレートがあること。庭園のアレンジに使いたい樹木の生態観察が心ゆくまでできます。
そうでなくとも、もちろん、自然の中で深呼吸をしよう、という週末の散歩にもオススメです。小鳥の歌を聴き、時に絵本に出てきそうな不思議な形の枝垂れたコニファーなどに出会いながらゆるゆると歩けば、自然の風を、季節を感じる週末の絶好の森林浴スポットです。
入場したのがすでに夕刻だったので、ざっとしか見て回れませんでしたが、春先の今、芽吹きの早い木々には新緑がちらほらと見え始め、モクレンなどが咲き、スモモの花木が満開ででした。花は樹種によりちらほら程度でしたが、サクラのコーナーもあります。
春先の花木には、本当に、人をワクワクな気持ちにさせるマジカルパワーを感じます。芽吹き始めの赤ちゃん葉っぱたちもまたしかり。
次回は新緑が出揃った頃に、また訪れてみたいと思います!
【基本情報】
シェーヴルルー樹木園(⇩CLICK)
Arboretum de Chèvreloup-Versailles -
30 route de Versailles
78150 Rocquencourt