花の島、マルティニーク
フランスの海外県のひとつ、マルティニーク島は
コロンブスをして世界で一番美しい場所と言わしめた
カリブ海に浮かぶ花咲き乱れる島。
12月でも青い空と青い海、気温も30度弱で過ごしやすい。
そこかしこでブーゲンビリアが咲き、椰子の葉が揺れる。
さらに、フランス本土であれば
コートダジュールか植物園の温室に行かないと出会えないような
観葉植物がゴージャスに咲き乱れる様子は、さながら楽園のよう。
街のそこかしこで
色鮮やかにブーゲンビリアが咲いている。
ナポレオン皇妃ジョゼフーヌの故郷、マルチニーク島
この島が気になっていたのは、
ナポレオン皇妃ジョゼフィーヌの故郷と聞いていたから。
近代バラの母とも呼ばれるジョセフィーヌは
バラのみならず様々な希少な植物を
世界中から収集させたほどの植物好きでした。
集めた様々な希少な植物を
お抱えの画家ルドゥーテに描かせたなかでも、
「バラ図譜」は植物画芸術の金字塔となったほど。
ルドゥーテは花のラファエロと称され、
彼の描いたオールドローズは
今見ても本当に魅力的。
ジョセフーヌの植物愛は、
時代を動かす文化芸術の推進力にもなったのです。
ジョゼフィーヌが暮らしたマルメゾンの城館には
やはり彼女が丹精して作らせた
ナチュラルな雰囲気のイギリス式庭園に囲まれています。
サロンの窓から見える風景には、
彼女の故郷の自然をも思い出せるような
ワイルドフラワーの草原になっていて、
そこには今も野の花が揺れています。
植物天国、マルチニーク島
マルチニーク島の面積は北海道と同じくらいだそうですが、
南北に長く、北と南で、またカリブ海側と大西洋側でも
全然異なる風景が広がります。
北側は緑が繁茂する山沿いのレインフォレスト、
南側にはサトウキビやバナナ畑が連なります。
北北側のペレ山を眺める。
首都フォール・ド・フランスからペレ山の方に向かって
山のなかを走っていくと、
周りには豊饒なレインフォレストが広がる。
豊饒な緑がそのままで、とても美しい。
強い日差しも茂った緑の樹冠を通って
心地よい緑の木漏れ日になる。
ところどころに巨大な竹の群生が、
カタカタと音を添える。
水場沿いは、もう、このままレインフォレスト・ガーデン。
いや、水場沿いでなくとも、
一歩入れば、豊かな緑に包まれる。
動物の毛並みの色合いや、鳥の羽の模様が、
どうしてこんなに完成された
色とデザインなんだろうと思うのだけれど、
同じように、神業的完成度の
大小様々ステキなフォルムの緑が
そこかしこに心地よく広がっている。
暖かな太陽と湿度が育む、豊かな植生を見ると、
ジョゼフィーヌの植物愛の源泉は
やはり故郷マルチニーク島にあったのだろうと
確信するのでした。