オータムカラーの水の庭、
クーランス城の庭園
フランスきっての美しい水の庭、クーランス城の庭園は
以前にも紹介したことがあるのですが、
やっぱりいいなぁ、と訪れる度に思います。
例えば入口付近の並木道と芝生、
ただそれだけという簡素な構成なのだけれど、
色づいたプラタナスの老木の並木道は圧巻に美しい。
14ある泉水の池には、時々落ち葉が積もっているのですが、
その様子にも秋らしさを感じます。
こちらは中央の泉水です。
近くを流れる小川の水を引いていて、
基本的にはポンプなどを使わず、
自然の重力のみで
各泉水の給水、排水が行われるように設計されています。
透明度が高くて水質も良さそう。
エコロジカル、サスティナブルなフランスの庭園メンテナンス
ちなみにフランスでは数年前から
緑地メンテナンスでの農薬や化学薬品などの使用が禁止されており、
こちらの庭園の手入れにも、そういった薬品は一切使われていません。
写真では見えませんが、
水中に発生する藻などは、魚が食べて対応しているそう。
全体で75ヘクタールある敷地を管理する
ガーデナーはたったの4人というミニマムチームなのに、
ちゃんとメンテナンスされている感がしっかり出ているのですが、
その秘密は、やはりデザインにあります。
引き算が生むミニマルの庭園美
クーランスの庭園では、
花の植栽などはほとんどないのですが、
広い芝生面と、しっかり刈り込まれた生垣と、
その後ろでボリュームをなす自然な形の木々、
そのコントラストが庭園の構造を支えています。
大胆なデザインの簡素化が手入れの簡素化に繋がり、
しかもミニマルアート的な魅力を生み出しているのです。
城館裏には
左右対称にツゲの刺繍花壇なども配置されていて
ルネサンスの水の庭から始まる、
フランスの庭園の歴史を辿りながらも、
広い芝生や樹木の自然樹形から
どこかゆるやかなイギリス風景式庭園の良さが
ミックスされた感じもします。
庭園内の泉水の方々に配置されて給水の役目を果たす
ルネサンスの名残のモンスターの頭も、なんともキュート♡
日本庭園インスパイアの庭も
全体の雰囲気とは一風変わった
「日本庭園」と名付けられた庭もあります。
ここは、ガードルード・ジギルの弟子を呼んで
作らせたという「日本庭園」です。
日本人的な感性で見ると、いや、
これは日本庭園とはちょっと違うんじゃないか
という印象もあるのですが、
和庭園からインスパイアされた庭園の
創作のかたちとしては、面白いのではないかと思います。
「日本庭園」の目の前には、感じの良いサロンドテがあるのですが、
今日は時間切れで寄れずじまいで、ちょっと残念。
後ろ髪を引かれる思いで、
暗くなってきた入口のプラタナスの並木道を後にしました。
また来たいなぁ。