パリの日本庭園入門講座

 そういえばブログに書く機会がなかったのですが、
パリでフランス人向けの日本庭園入門講座を始めて、2年目になります。
日本の庭の話を通じて、自国の文化を異国の言葉で伝えるこのアクティビティは、
自分自身のこれまでの経験やスキルや大切に思うことを一つのかたちにする、貴重な機会になっています。

 授業は水曜午後という、かなり時間の余裕がある人でないと参加できないようなタイミングなので、ざっくり言って、日本文化に興味を寄せる教養の高いリタイア層の方々が大半なのではないかと思うのですが、みなさん真剣に聴いてくださるのがまた励みになり、この、伝える伝わる感覚がなんとも素晴らしい。。。
これまでも学生さんの前で話したり、トークショー的なものに出演したりしたことはあったのですが、激しく準備して定期的に授業をするというのは、この日本庭園入門講座が初めてながら、もしかして向いてるんじゃないかと自分でも思い始めたくらい(笑)。

 最初のセッションの授業の前は、準備してもしても、終わりがない感じでとても緊張するし、授業後は全力疾走し続けてもう脱力〜〜、という感じでした。では授業中も緊張して全力疾走しているのかというと、これがまた違った感覚で、不思議と落ち着いてしまうのです。
フランスは9月が新学期。久しぶりの授業は、もはやなんだかすっかり楽しみになってしまって、小心者ゆえ、もちろん準備を重ねて緊張するのは避けられないのだけれど、心の中ではちょっと小躍りしながら教室に向かっていました。今回は参加者数も通常の半分、席の間隔を十分あけて、全員マスク着用。マスクして話すのはあまり快適ではないけれど、でも楽しかった!!

 私は大人になってからフランス語を学んだので、完璧なバイリンガルという訳にはいきません。気の利いたアドリブとか、ばんばん連発できないけれど、画像の力を効果的に借りつつ、分かりやすく、明確に、伝えたいメッセージをはっきりと。言いたいことは伝わるし、さらに参加者のそれぞれの知識や経験、感性が掛け合わされて、いろんな感想や意見が出てくるのも新鮮で面白い。そうした反応を参考に、また準備し直して…を何度か繰り返すと、レシピ見なくても失敗しない得意料理みたいな境地になってきて、とはいえ、いつも全く同一ということにはならないので、作っていても楽しいし、心地よいし、作った後も疲れなくなっている。興味ある、好きなこと、やりたいことでも、最初からパーフェクトに楽チンじゃないことは多々あるのかもしれない。思い切って始めて見る、そして継続は力なり、の最初の一歩を実感しています。まだ早いかもしれないけれど、熟練の上でこそのさらなる創作の境地も見えてくるような。

 幸い、続きを聴きに来たいと言ってくださる方もたくさんいらっしゃるので入門続編を準備中、のままだったのですが、ようやくなんというか、心から前進していいような気持ちになって来た。この機会を与えてくださる皆さま、励まし背中を押してくれた日本の師匠、参加してくださる皆さまに感謝しつつ、頑張ろうっと。

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