南仏プロヴァンスの春、花やハーブと出会う

春先の南仏プロヴァンス、
今日はガリッグ(地中海の乾燥地帯の林)の散策にお付き合いください。

ガリッグとは、南フランスの地中海沿岸などの
石灰岩土壌の乾いた地域に育つ林や森のこと。
貧しい土壌と厳しい乾燥に耐える、
木々や草花が独特の風景を織りなしています。

ガリッグの植物というとなんだか特殊な感じがしますが、
実はオリーブやツゲの木などもその一種、
ローズマリーやタイムなど、
普段の料理で馴染み深いハーブたちもガリッグの植物です。

地面を見ると、確かにガツガツとした岩石です。
強い日差しと乾燥にもよく耐えそうな
小さな照葉の常緑の灌木が多く、
セイヨウヒイラギガシ(Quercus ilex L.フランス語だとChêne vert)などもその代表。
ウネウネとした木の感じが、魔法っぽくて好きです。
それから、写真だとわかりにくいのですが、
日光が当たった時の照り返しが白っぽい光になって
独特の緑色の空間になるのも、とても美しい。

散歩の途中で見つけた、素敵な石垣。
ナチュラルな石積の石壁と緑で
リュスティックな南仏プロヴァンス風景が完成。


この種の石壁は隙間に植物が入り込んで育ったりするのも
風情があって大好きです。

緩やかな、でもゴツゴツした岩盤の坂道を登っていくと、
ちょっとした丘の上に到着。

少し離れたところに見える石造りの塔は
フィリップの塔と呼ばれる建物で
19世紀にそこから地中海を見渡したいということで
ある芸術家が造ったのだそうです。
完成する前に世を去ってしまったので、
塔は未完成のまま残り、
中を見学することもできないのですが
土地の岩石で作られた塔は
風景のチャーミングなフォーカルポイントになっている。

足元には小さな可愛い紫色の花を発見。
そしてその近くには野生のタイム。

タイムはそこかしこに生えていて、
群生している場所も多数。
日光いっぱいの乾いた感じの場所が好きですね。

今はまだ新葉が出始めの時期ですが、
花が咲く頃に採取して、乾燥ハーブにします。
そしてセイボリーやローズマリーなどとミックスすると
プロヴァンス料理に欠かせない、
エルブ・ド・プロヴァンスの出来上がり。
厳しい土地に勝手に生えてくるハーブたちは
香りも強く、生命感にあふれていて、
パワフルなエルブ・ド・プロヴァンスができそう!
花の時期になるのが待ち遠しい。

自然の中を歩いていると、
見つけた植物の好きな場所が
だんだん読めるようになってくる感じがします。
そういえばポール・スミザーさんも、
自然の中を歩き回って
庭を作るその土地の植物を観察していたな。
私もその土地の性格を生かした
ナチュラルな庭作りが好きです。

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