冬の庭も美しい、ヴェルサイユの公園散歩
すっかり暗〜く寒い冬が続くヴェルサイユから。
イル=ド=フランス地方の冬は、
どちらかというとどんよりと雲が垂れ込める、
グレイッシュな感じ。
こちらのグレイッシュトーンの色使いの上手さは
この気候から来ているに違いないと、
確信してしまうくらいです。
朝も8時過ぎても日が昇らず、
夕方もさっさと暗くなってしまう、
本当に暗〜い季節なのです。
こんな季節だから、ノエル(クリスマス)などを
盛大に祝うようになったのかしら、とさえ思われます。
冬の間は庭仕事もひと休み。
眠りにつく植物がたくさんあります。
その一方で、
もちろん季節を問わず頑張る、
あるいは姿を変えつつ、
いつも頑張っている樹木や草花もあります。
そして冬だからこその風景もあるのです。
最初の写真は、ポタジェ・デュ・ロワ(王の菜園)
の隣にあるスイス人の池にて。
普段はヴェルサイユ宮殿のパークや庭園を歩くのですが、
このところの大ストライキのあおりで、
宮殿と庭園が朝閉まっていることもあり、
普段は行かないスイス人の池まで遠征。
ご褒美のように、雪の華が咲いた木がある
素敵な風景に出会いました。
今年初めて霜が立った日の芝生。
日が昇ってくるとどんどん溶けてしまいますが、
カサカサと白くなった落ち葉で、
地面の表情がぐっと変わります。
そして晴天の朝、
冬は太陽の位置が低いままになるので、
斜めに地面をかすめるように差し込んでくる光の表情も
他の季節とはだいぶ違う。
冷たい澄んだ空気を感じる
独特の魅力的な光です。
ちなみにこちらはヴェルサイユの公園ですが、
刻々と変わっていく光で
普段から見慣れているはずの
風景の印象がどんどん変わっていく、
光の魔法を改めて感じ入るのが冬の朝。
この瞬間をひとつひとつ、
全部取っておきたいと思ってしまうような
静謐かつ美しいシーンの連続なのです。
写真では再現性が薄いのですが、
この瞬間を覚えていたい、気持ちからか
気がつくと一生懸命写真を撮っているのでした(笑)
木立も並木道も、いつになく詩的でドラマチック。
そして冬の楽しみはこればかりではありません。
深い霧の朝は特に幻想的。
いつもの並木道が、
まるでおとぎの国へ続いていくように思えて来て
ワクワクしてしまいます。
幻想的な風景を作り出す
光と水の実力にノックアウトされます。
光や風を感じ、その変化でさらに輝く空間を
植物と一緒に作り出していけたらいいなあ、
と改めて思います。
立ち枯れたグラス類や紫陽花の花に
霜がかかったわびさび的美の風情は
今や冬の庭に欠かせない風景になっています。
鮮やかな色合いの幹や枝を持つウィローなどの植栽も
寂しくなる冬の庭に映えて美しい。
......こうしてみてみると、冬の庭の魅力はなかなか尽きないものです。
そして人の力を軽く超えた、
庭の表情の変化に思いを寄せると
ちょっと雪が積もってくれるチャンスも
楽しみだったりします。
(あ、でもこれは庭にある植物の耐寒性にもよりますね...。)
2019年もそろそろ終盤。
皆さまどうぞよいお年をお迎えくださいますように。