さて、フランスの英国式風景庭園って、一体どういうこと?
と言いたくなるかもしれませんが、
海を挟んだ両国は、絶妙な距離感でお互いに影響を与えあい、
それぞれの独自の庭文化を育て上げて来ています。
イギリスで一気にフランス発の整形式庭園が作られた時代があれば
その後は、イギリス発の風景式庭園がフランスで一世を風靡する、
そんなキャッチボールを追っていくのも
なかなか面白かったりします。
写真はパリから車で北に1時間ほど、
ピカルディ地方のエルムノンヴィルという小さな村にある
ジャン=ジャック・ルソー公園。
元々はジラルダン伯爵が造園させた18世紀のイギリス風景式庭園が
現在は公園となって管理されています。
大きな池をめぐる散歩道には古木が悠々と
所々で涼しい木陰を落としています。
なるべく自然に逆らわない管理手法を取り入れていることもあり、
ワイルドな草原が大胆に広がっているのがまた心地よい。
真ん中遠方に見える、ひょろりとしたポプラが並ぶ島に
この地で亡くなる直前の6週間を過ごした
ルソーの墓碑が安置されています。
(本体はパリのパンテオンに移されたので、こちらは墓碑のみ。)
このポプラの島のイメージ、
実は絵画作品や他の庭園のデザインにも
使われたりしているようです。
ワイルドな草原の草を一部刈り込んだだけの小径。
お昼寝している人あり。
お天気が良かったので、昼食を持参して
のーんびりとお喋りしながらピクニック。
ああ、至福のひととき。
ちょっとオサレなカフェコーナもあります。
それで食後のカフェなど飲みながら
また至福のひととき。
山手の方の散歩道は、ぐっと森の雰囲気になります。
少し涼しく湿っているので、シダの王国が広がっていたり。
木立を通して垣間見える
空地に降り注ぐ光が美しい。
木々に覆われていて、とても落ち着くのだけれど
適度に木漏れ日が入って来たり、
少し遠くに光が溢れる空き地があったりして
とても感じの良い明るい森の散歩道です。
山手の森スペースと、大きな池のある平地のコントラストに
本来の地形がうまく生かされ、
所々に様々な当時のファブリックがフォーカルポイントとして
効果的に使われています。
ちなみにこちらは当時のアーチェリー場。
両端に設置された的から的までは50mだそうですが
結構長く感じます。
森を抜ける見晴らし。
左側に何か構造物が見える。
そして、なぜかフランク・シナトラ風の歌謡曲が流れている...。
近づいてみると、これは夏のアート作品展示の一つでした。
どうも盆踊りの屋台に見えて仕方なかったのだけれど(笑)。
ジャン=ジャック・ルソー公園では
積極的にアーティストによるパフォーマンスや
作品展示などの活動を行なっており、
18世紀のフォリー*ばかりでなく、
現代のフォリーも取り込んで、
歴史的な場所を今に生かす意気込みと工夫が感じられます。
*フォリーまたはファブリック(Folly(英); Fabrique(仏))
庭園の装飾用の建築物のこと。
ローマの神殿風や中国の仏塔、廃墟など様々なものがあります。
そしてまた大きな池のほとりに戻って来ました。
木立の中でどんどん変化する光と陰を追いかけつつの、
あまりに心地の良い散歩で、
すっかり途中のフォリーの写真を撮るのを忘れてしまいました。
至福の時というのは、なかなか見える形で留めるのが難しいものです。
最後に、入口近くの草原で草を喰むヒツジたちが登場する、
どこまでものどかな風景。
それではまた!
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