パリ北方へ車で小一時間ほど、
エルムノンヴィルの森のなか、
ジャン=ジャック・ルソー公園のすぐ近くには
12世紀にルイ六世によって創建されたシャーリのシトー会大修道院があります。
ルネサンス期にはイタリアから名だたる芸術家たちが呼び寄せられ、
画家フランチェスコ・プリマツィオが礼拝堂に描いたフレスコ画などもあります。
フランス革命後に大体的に破壊された修道院は廃墟となり、
残された古典主義様式の館は20世紀の初頭に
パリのジャックマール・アンドレ美術館を作った
銀行家エドゥアール・アンドレの妻ネリー・アンドレが買い取って
世界中から集めたコレクションの一部を展示していたそうで、
現在、館は美術館として公開されています。
写真には写っていないのですが、敷地内を進んでいくと、
美術館になっている新古典様式の館が現れ、
そして大修道院の廃墟が、どどーん、とあります。
なんというか不思議なコントラストでした。
もう少し、何かできそうな気がしました。
そしてさらに訪れた夕方には
廃墟と礼拝堂のあたりのエリアでは
4組ほどの結婚式合同撮影グループが写真撮影中で、
確かにいい絵が撮れるのだろうけれど、
偶然居合わせてしまった者としては、
廃墟の雰囲気に浸れず少し残念。
閉園時間も迫っており、まずはバラ園(3500㎡)へ。
シャーリの修道院のバラ園では
毎年六月の中頃、バラ満開の時期に合わせて
バラ祭り的なイベントがあるのですが
そこには間に合わず。
けれどまだ咲き残っているバラも多く
クレマチスやら他の宿根草とも組み合わされた植栽なので
十分に楽しめました。
名札にも目立ちすぎないような工夫をしながら
オサレ感あり。
庭園自体の歴史は長いのですが、
こちらのバラ園は2000年頃にリフォームされています。
壁で囲まれた空間の中央には、
小さなルネサンス時代のベースがポイントになり、
全体的にバラのサロンのような、
アンティームな空間が作り出されています。
オールドローズ系を中心に、モダンローズでも
一重咲きのワイルドローズ系、または
カップ咲きのオールドローズ系の品種のバラで構成されており、
全体的にナチュラルな雰囲気です。
まだまだ、それぞれのバラの良い香りも楽しめました。
背景にはすでにエルムノンヴィルの森の木々が見えてます。
森の中というのは、涼しめ、湿り気多めで
決してバラに向いた環境ではないため、
開花も遅めなのだそうです。
(しかし、出遅れたバラ見物の者にとっては最後の砦になるのかも!)
バラ園を取り囲む石壁は、
バラやその他の植物で覆われて
やわらかい雰囲気になっています。
なかなか時期が難しいバラ園巡り、ギリギリセーフ、の午後でした。
最後に、傾いてきた夕日のなかの廃墟を遠くに眺めつつ。