マルリーの庭園、ジャルダン・ファントム……幻の庭
(写真はhttps://fr.wikipedia.org/wiki/Domaine_national_de_Marly-le-Roiから)

ルイ14世最晩年の庭園、マルリー庭園

ルイ14世といえばもちろんベルサイユの宮殿と庭園です。
しかしベルサイユの中でもメインの宮殿での典礼作法が窮屈になって
もう少し気楽に過ごせるプライベートな場所として
離宮グランドトリアノンを作らせ、
最晩年には、さらにもっと隠遁するために
ベルサイユからさほど遠くないマルリーに
城館と庭園を作らせました。

ギラギラすぎる生活というのは
人を疲れさせるようです(笑)

限られた選ばれた者しか
王に随行することができなかったため、
マルリー城にアクセスできることは
貴族たちにとって至上の名誉だったのだそうです。

しかし城館は19世紀にこわされて、庭園の原型もすでになく、
現在は面影を残して再構築された庭園となっています。
当時は野外美術館のごとくに庭園を飾った彫刻作品は、
現在ルーブル美術館のマルリーの中庭に展示されているので
ご覧になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

マルリー近くには、もともと水源に恵まれていなかったヴェルサイユの庭園に、大量の水を供給するための貯水池とマルリーの機械と呼ばれた水揚機が設置されていたことでも知られていますが、
その庭園についてはあまり語られる機会がないようです。

しかし、すでになくなってしまった庭園も
当時の人々の日記や書簡、版画や絵画などを紐解くことで
かなり詳細に知ることができるのが
庭園史の面白いところです。

ジャルダン・ファントム、
ファントムと聞くとお化けっぽい感じ(笑)、
過去の幽霊や亡霊といった雰囲気もありますが、
すでに実体を失っているのだけれど、
幻影のごとくその姿を表す美しい「幻の庭」は、
マルリーの庭園だけでなく、
ポンパドゥール夫人のベルビューの城館の庭園など、
他にもたくさんありそうです。
そうした「幻の庭」のお話も
お伝えできる機会があればと思います。

なんだか予告で終わってしまう感じですが、
次はマルリーの庭園で飼っていた、ルイ14世お気に入りのペットの話へ。
ではではまた!


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