ボルドーのランドスケープ散策、カトリーヌ・モスバックの植物園へ

ボルドー、ガロンヌ河の右岸へ

人々で賑わうガロンヌ河の左岸を離れ、
[関連記事]ボルドー、都市の景観(ランドスケープ)●←Click!

新しい橋を渡って右岸へ。
昔は右岸の方には観光施設的なものは何もなかったそうなのですが、
近年再開発が進んでいる最中のようです。

左岸とはだいぶ雰囲気が違う、まだまだアンダー・コンストラクションな感じです。
それでもどんどん進んで行くと、ちょっと気になるエリアを発見。

何かの工場跡地の再利用らしく、
オーガニックのマーケットや飲食店が入った複合施設のようです。

手作り感が温かく、ゆるくてイイ感じです。
地ビールでこのまま寛いでしまいたい、誘惑にかられましたが
もう少しがんばって進みます。
というのは、この先の植物園が今日の最終目的地なのです。

カトリーヌ・モスバック設計のボルドーの植物園(ボタニックガーデン)

カトリーヌ・モスバックは、
フランスの著名な若手ペイザジスト(ランドスケープ・アーキテクト)の一人で
ルーヴル・ランスの庭なども手がけています。

まさにギリギリ、日が落ちる頃にたどり着きました。
21世紀になってから作られたこの新しい植物園は、
当初から、エコロジカル・エコノミカル・教育的であることを柱に構想されました。
スッキリとクールなデザイン。

見かけがクールであるばかりでなく、
ちょっと見えにくいのですが、
例えばこちらの外壁は、
1999年の嵐の際に倒れてしまった
大量のオークの木の大きな木片の再利用で作られています。
そのほかにも雨水利用の取り組みで
従来よりも60%まで水の利用を節約したりと
新たな取り組みが随所に仕掛けられています。

展示方法で面白いのは「環境」のコーナーで、
様々な植生環境(例えば大西洋沿岸の湿地帯、など)を再現して
その生態系にある植物の姿が観察できます。
そうした趣旨は他にも例があるのですが、
環境を作る土台となる土壌(地質)部分も観察できるコンセプトは
ここが初めてなのだそう。

乾いた地質や、栄養豊富で水分豊富な地質など
地質と植生の関係も肌で感じられます。

植生保護のため、環境の中には入れないけれど、
階段で観察ポイントに上がって中の様子を観察できます。

「環境」展示の外にも
グラス類や草原の花々やキッチンガーデン的ハーブ類などの
コーナーが続きます。

植物園につきものの温室も、
展示の内容を再考して、地中海性気候の植物展示とし、
ソーラーパネルと凍結を防ぐためのラジエーター1つあるのみ、
潔く過剰な暖房を止めて、エコロジカル・エコノミカルです。

コレクションの植物の種類をいたずらに増やすよりも
無理なくメンテナンス可能な植生にスポットを当てつつ、
植生についての理解を深める教育普及活動により主軸を置く仕組みになっています。

もう時間が遅くて閉まっていたけど、
園内にはオーガニックのレストランなども併設されています。
従来の珍しい花がいっぱい!というのとは少し違うけれど、
時代の要請に基づいたクールな提案に感心させられる
素敵な植物園です。

ではではまた!

おまけ>>
ニューヨークのMOMAでの展示のために作られた
この植物園に関する映像です→Click!
建設時の様子なども見られます。

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