美しき水の庭、クーランス城の庭園
一度は訪れるべきと言われるフランスの水の庭、クーランス城。
クーランス城は、パリから車で1時間弱、
かつてジャン・コクトーが住んでいて
今はその邸宅が美術館になっている
ミリィ=ラ=フォレという街の近くにあります。
水の風景に至る前の入口からすでに
年代を経た大きなプラタナスの並木道と緑地が
午後の光で美しいコントラストを織りなしていて
圧倒されます。
フランスならばどこにでもありそうで
ここまで行き届いて作られている風景は
やっぱりなかなかない、圧倒的なシンプリシティが本当に美しい。
泉水の池に沿った並木道は16世紀に作られたルネサンスのスタイル、
木々は18世紀末に当時の当主が植えさせたものです、
ということはもう200歳以上。。。
この城の現在の当主はガネー伯爵家で、
城には現在もファミリーが住んでいる、
今では希少な、いわば生きている城館で、
春から秋の間の週末の午後には庭園が公開されています。
そしてこの美しい空間は、現在もガネー伯爵夫人が庭園に
情熱を注いでいるからこそ、実現されているものでもあります。
入口からほど近い浴女の泉水。
クーランスの庭園では
かつてルイ13世がフォンテーヌブローに住居していたときには
ここから水を取り寄せていたというほどの
良質の水源に恵まれた地形が
十二分に生かされています。
また、ルネサンスの庭園からフランス整形式庭園、
その後の自然風景式の時代を経て
現在に至る何世紀もの間の変遷の片鱗を感じつつも
全体が水と並木で繋がった調和が素晴らしい。
こちらが現在も使われているクーランス城の建物。
城館の後方から庭園に向かって広がる大きな水鏡。
緑のコントラストのなか、
ワクワクと庭園散策は続きます。
そんなとき、
一緒に訪れた友人の旦那さまが
「で、庭はどこにあるの?」と一言。
ガーデン・デザイナーである友人は、
「あなた!ここが庭園なのよ!(笑)」
そう、意外と玄人好みの庭空間かもしれません。。。
庭園につきものの花の植栽が一切見当たらないのですから。
庭園を維持していくためには常に手入れが必要です。
プライベート・ガーデンであるこちらの庭園では
そうした必要性も考慮に入れ、
修復を行っていく際に、植栽などを省き
生垣と並木と芝生などの構成要素に単純化していくなどして
現在の形に整えられています。
それはまた本来の水の庭としての構造により光をあてる設計ともなり、
歴史的経緯の土台の上で、庭園の特徴を現在のコンテクストでも
十二分に表現する稀有な場となっているのです。
(続きます♡)