ナイト・ガーデン〜夜のイサム・ノグチの平和の庭を訪れる
パリには色々な国際機関がありますが、ユネスコ本部もその一つ。
アメリカ建築家マルセル・ブロイヤと
ピエール・ルイージ・ネルヴィ(伊)、ベルナール・ゼルフェス(仏)
によって1950年代に設計された建物は、
今見ても、あるいは今見ると、すごーくカッコいい。
この螺旋階段がなんともステキです。
世界遺産決定の協議の場、にふさわしく
ここには各国から寄贈されたミロやピカソの壁画、
ジャコメッティやヘンリー・ムーアの彫刻など
ちょっとした美術館ばりにアート作品が揃っています。
外の庭園にある、手前はカルダーの彫刻、
建物の中にはミロの壁画。
そしてここユネスコにイサム・ノグチが造った日本庭園があること、
意外に知られていないようです。
先週末のパリではミュージアム・ナイト的な、
方々の美術館が深夜過ぎまで無料開放されているというイベントがあり、
ユネスコも一般公開されていたので、
普段見ることのできないと思われる、
夜のイサム・ノグチの庭を見学に行ってきました。
ライトアップされたノグチの彫像と噴水。
彫刻された「和」の文字をつたって水が流れ、庭園への水路に注ぎます。
建物のテラスから続く、ミネラル(石材)で構成された上部分、
そして、水路沿いに降りていくと
池や築山が設えられ、
本格的な日本庭園になっている下部分と
大きく2つの異なるパートから構成されたガーデンです。
モダンな石造りの太鼓橋がかかった水路
何階層かの異なる高さのエリアが入り組んだ構成になっていて、
エントランスの空間がミネラルオンリーということもあり、
庭なのだけれど、
大きな彫刻の中を散歩しているような気もしてくるのが不思議です。
石材や樹木ははすべて日本から運ばれました。
ノグチ自身が現地に滞在し、作り込んだ
本格的なアーティストの庭。
灯が入った灯篭ももちろん、
この空間のためのノグチのオリジナル作品です。
庭を眺めるこちらには、
長崎の浦上天主堂で被爆した天使の頭部が
平和への祈りとともに設置されています。
平和の庭の呼び名にふさわしく、この夜のガーデンには、
作家自身のクリエイティブの世界、また作家の文化的背景、制作当時の時代性、
彫刻と庭園と建築という、隣り合う異なる要素が重なり合って生まれる
調和の空間、と言ったら良さそうな空気が感じられました。
それではまた!
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