カルティエ現代美術財団、クールな現代建築をかこむ優しい庭
ガーデン・ブログ、またまたすっかりご無沙汰してしまいました...(><)
(楽しみにしてくださっている皆さま、ゴメンなさい!)
この間、パリの植物園での研修やら、
天気の良い日には庭をまわり、
そうこうしているうちに、
革命記念日の7月14日
(日付そのままキャトルズ・ジュイエ、と呼ばれる祝日)
を過ぎると、パリも本格的にヴァカンスシーズンです。
(私はまだパリ植物園で庭仕事見習いです(笑)
この話はいずれまた別の機会に〜。)
真夏のパリにパリジェンヌは居ない、と
言い切ってよいでしょう。
バカンスをいかに充実して過ごすかは
多分一年の予定の中でも最重要な部分で、
6月に入るともうそろそろ、
人々は浮き足立ってくる様子です。
今年のパリは雨ばかりで天候が今ひとつ、
バカンス気分になりにくかったのですが、
ようやく短い夏の本番という感じになってきました。
8月は私もパリから逃避しようと目論んでおります。
前置きが長くなりましたが、
そんなパリの街の中の緑のオアシスのひとつが
カルティエ現代美術財団のガーデンです。
現代美術好きな方とガーデン好きな方が必ずしも重ならないので
あまり話題に上ることがないのですが、
(または展覧会への入場チケットがないと入れないからかもしれないですが)
ここの庭園はさすがいろんな意味でクールです。
最初の写真の建物のエントランスを飾るのは、
緑の巨匠パトリック・ブランのバーティカル・ガーデン(垂直庭園)。
寄ってみると、ヤツデなどもぐんぐん育ってしっかり木になっている。
財団の建物は、設計ジャン・ヌーベルで、
透明なガラスを多用し、イン&アウトを錯綜させた現代建築。
その周りをかこむのが、
ドイツのアーティスト、ローター・バウムガルデンによる
<Theatrum Bofanicum>と名付けられた、ナチュラル・ガーデンです。
建物と周りを隔てる外壁も透明素材が用いられており、
外から見ても、中から見ても、
透明なガラスと木々や草花の緑が二重、三重に重なり、
現代的な街の要素と、自然の存在の要素が
絶妙なバランスで融合したクールな風景を作り出しています。
フランス整形式庭園でもない、イギリス風景庭園でもない庭、
なのだそうで、
森の散歩道を思わせる植物たちで構成された
ナチュラル・テイストのこの庭は現代の庭、
ということなのかもしれません。
日本で言えば雑木の庭、のようなテイストで、
自然な石の使い方などに親しみにを覚えます。
造園家ではなく、アーティストが作っているというのも面白い。
勿論その後は専属の庭師によって、
継続的丁寧なメンテナンスが施されており、
開設から22年経った今、
木々は大きく育ち、とても落ち着いた憩いの空間になっています。
テラスカフェになっている明るい広場。
グリーンの小屋で飲み物や軽食を買うセルフサービススタイル。
とはいえ何か買う必要もなく、階段席でも、思い思いにくつろいでいます。
広場から少し離れて、周辺をかこむ散歩道へ。
木陰を静かに散歩できます。
変なカタチの木?
いえいえ、これはれっきとしたジュゼッペ・ペノーネの彫刻作品で、
端の方からは水が流れ出ており、
噴水の役割も果たしています。
展覧会の内容によっては、
ガーデンでも作品展示がされたり、
定期的にコンサートやパフォーマンスも行われています。
さらに、このガーデンは、
人にとって居心地が良いだけではなく、
他の生物にとっても優しくしつらえられており、
パリの自然史博物館の調査によると、
この庭には194種の植物(うち樹木は21種)が生存しています。
青シジュウガラや尾長シジュウガラなど
フランスで数の減少が危惧されている小鳥たちも確認されており、
野鳥や昆虫や鳥などが豊富に行き来する、
生物多様性を保全する貴重なサンクチュアリになっているとのこと。
アートと建築と庭、自然と人のいいバランスが構築された
誰もが心地よく過ごせるクール&ゴージャスな場所が、
現代の庭なのかもしれませんね。
ではではまた!
いつもお読みいただきありがとうございます。
ブログ更新の励みになります、
よろしければぜひ、いずれかクリックお願いします♬