ベルサイユ宮殿のオランジュリー

パリはすっかり秋も深まり、庭園も冬支度に向かっています。
ベルサイユの庭園でも、夏の間庭園のそこかしこに点在する
オレンジやシュロなどの寒さに弱い木々が、
冬越しのため「オランジュリー」に移動されます。

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オランジュリーというと、パリの「オランジュリー美術館」を思い出される方が多いかもしれません。
(モネの睡蓮が大画面で展示された、息を呑むのような素晴らしい空間のある美術館になっています。)
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元々「オランジュリー」はオレンジを冬越しさせるために作られた建築物です。
寒い場所で南の植物を栽培出来るということは、贅沢の極みですので、
18世紀のヨーロッパでは数多くのオランジュリーが作られました。
"庭のリュクス(贅沢)"のステイタス的な存在として
宮殿などにはたいていオランジュリーがついています。

現在では、かつてのオランジュリーが、パリのオランジュリー美術館
(元々はチュイルリー宮殿のオランジュリーだったところ)
のように美術館や展示会場として転用されたり、
レストランやカフェなどになっているところがほとんどです。

そんななか、ベルサイユ宮殿のオランジュリーは、建築家マンサールの設計で、
庭園設計者ルノートルの時代、つまりルイ14世の時代に作られたものが
そのまま現在も使い続けられている、
規模としても歴史の長さからも世界で唯一の場所だそう。

IMG_4505
木々がぎっしり運び込まれた空間は、長さ170m、幅17m、天井高は13mという、宮殿そのもののような広大な空間。

冬になって木々が運び込まれると、まるで森のようです。
建物は北側に壁、南側にアーチ型の窓が設置され、
外壁を数メートルと厚く、窓は微妙に傾斜して入ってくる日光量も調整されており、
年間を通じて10℃程度を保つよう設計されています。

冬の間は木々も冬眠状態に入るので、水やりは不要。
その間に、一つの鉢に対して2〜3年に一回、
鋳鉄の枠組みのコンテナの側面パネルを外して根の手入れをします。
よく見るとコンテナにはナンバリングもされ、きっちり管理されているのです。
このコンテナの仕組みや手入れの方法は、
ルノートルの時代からのシステムが脈々と庭師から庭師へ、
脈々と引き継がれて現在に至るのだそう。
さすが、ベルサイユ。
ずっしりとした伝統の重みと、
何百年をも耐えうるシステムがすでに17世紀に作られていたことに
改めて脱帽です。

IMG_4509
[コンテナを移動させるときに使う器具が装備された作業車。
この器具も昔のものがそのまま使われているそうです。]


IMG_4503

[窓辺にはサボテンたちもいました^^]

いつもお読みいただきありがとうございます!

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