ジョゼフィーヌと宮廷画家ルドゥーテ、バラがアートになるとき
さて、花と植物を愛したジョゼフィーヌのマルメゾンのバラ園は、
世界中から集めた貴重なバラのコレクションを誇る、当時最高のバラ園でした。
「近代バラの母」と呼ばれることになったファーストレディ、
ジョゼフィーヌのすごいところは、これを自分の趣味に終わらせず、
植物学者や植物画家たち専門家を登用して、
その希少なバラコレクションを発展させ、記録させるという
いわば一連の事業化したことです。
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ちょうどこの時期以降、
人工交配が可能となり新たな品種が開発され始めた、
オールドローズとモダンローズが混在した時期で、
これらのバラの姿をとどめた植物画の記録は、
バラ園芸の近代史を知るための貴重な資料となります。
ルドゥーテの『バラ図譜』〜ボタニカルアートの金字塔
ジョゼフィーヌの収集した希少なバラの姿を描いた
宮廷画家ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテの『バラ図譜』は、
そればかりでなく、さらに
植物画を芸術の域にまで高めた傑作として、
未だこれを超えるもののない、
ボタニカルアートの金字塔と言われています。
ルドゥーテが描いたバラたちは、
植物学的な正確さが十分に考慮されつつも
洗練されたエレガンスが漂う芸術作品となり、
現代でも格別の存在でありつづけています。
こちらはルドゥーテが描いた『ロサ・ケンティフォリア』
マリー・アントワネットがよく肖像画で手にしているバラです。
(写真は額絵ショップ《ルドゥーテのバラの庭》より)
どのように、こうした素晴らしい作品が生み出されていったのでしょうか。
ルドゥーテの『バラ図譜』が完成したのはジョゼフィーヌが亡くなった後だったので
ジョゼフ―ヌは『バラ図譜』を実際に目にすることはありませんでした。
しかし、
ボタニカルアートの金字塔、ルドゥーテの『バラ図譜』誕生には
彼らのバラへの愛が、大きなパワーとなっていたに違いありません。
才能や技術や努力、時の巡りあわせ、
どれが欠けてもならなかったのかもしれませんが、
すべてに勝るのは植物への、バラへの愛情だったのではないかと思います。
機会があれば、200年経ってなおみずみずしくエレガントな
ルドゥーテの描いたバラの絵をぜひご覧になってみていただきたいです。
それではまた!
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