庭の生き物たち〜クライドルフの絵本

の生き物たち–––花々や昆虫たちの物語を独特のファンタジックな世界観で描いたエルンスト・クライドルフ(1863- 1956)はスイス生まれの絵本作家。

クライドルフの描く植物や昆虫はどれもが種別をすぐに特定できるような正確さと、絵本の世界観を醸し出すファンタジックな雰囲気をもった、稀有なキャラクターたちです。小人たちも出てきます。

音楽を奏でるクレマチスやスノードロップ、ちょっとおこった感じのアザミやら、パンジーやキンポウゲ、プリムラ、クローバー、ヤグルマギク、ツリガネソウ…。

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優雅なオートクチュールドレスをまとったようなたおやかなアゲハチョウや柵の中で飼育されるケムシたちや…。
けっこう衝撃的。でもずっと見てると、きれいな色合いだなぁとか、なんだかいいところも見えてくる。

ところで、実は私、虫が大の大の苦手です。虫が苦手なガーデナーというのはなかなかキビシイと思います。実際キビシイです。植物や庭の世界に惹かれてはいたものの、長年、ただひたすらに虫が怖くてなかなかその中には入れないでいました。チョウチョの鱗粉がつくのが怖くてチョウチョにはなるべく近寄らないように、間違っても触らないように、テントウムシも眺めるだけ、ケムシなんてもう見ただけで真っ青です。

ところが、ある時期から少しずつ、虫と仲良くはならないまでも、苦手意識がやわらいできて、なんとか庭の世界に踏み込むことになったのです。

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そのきっかけのひとつがクライドルフの絵本でした。クライドルフの挿絵の昆虫たちは、実におしゃれでチャーミング。彼らを見ているうちに、チョウチョの羽の模様や色あわせの美しさやら、かなり怖かったケムシやイモムシも、挿絵を見ている限りはユーモラスな形体の生物などだなぁと、不思議と苦手意識の垣根が低くなっていったのです。

同時に、テラスのコンテナガーデンでハーブやバラを育てることになり、に発生するアブラムシやらチュウレンジバチの幼虫やら、オリーブの鉢に潜むコガネムシの幼虫やら、どうにかさようならしてもらわないと限られたスペースの植物たちはすぐに食べつく差たり枯れたりしてしまいます。

そうなってくるとバラを守るために!必死に立ち向かうことになり、苦手は苦手でも以前よりは免疫ができて、なんとか庭作業もできるようになってきました。レモンの葉っぱをたべるアゲハチョウの幼虫も、最初はすべてくまなくさようならしていましたが、そのうちに、大きくなった幼虫をみていると本当に絵のように独特のデザイン性のある形態をしているのが、なんだかすごいなーなどと思ううちに、まあ少しくらい葉っぱもどうぞという気持ちになり、そして孵化したアゲハチョウを観察すると、クライドルフの絵本で見ていた女王様のように綺麗な羽を羽ばたかせて飛んでいくのです。

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