今日の初夏のような陽気で思い出したのが、デンマークのルイジアナ美術館(Louisiana Museum of Modern Art)。コペンハーゲンから北へ35km、電車利用で1時間位なので日帰りできます。
いまはどうかわかりませんが、かつてフランスでミュゼオロジー(博物館学)を学んだ頃には、ヨーロッパのなかで最も魅力的な近代美術館の一つとして、また来館者フレンドリーな、自然と建築とアート作品が調和する庭園美術館の好例として、必ず登場するミュージアムでした。
海のそば、リビエラ海岸に面した絶景のロケーションに位置するミュージアムは、1856年に建てられた邸宅を改装した趣のある建物で、美術館と彫刻庭園の内外には、ジャコメッティやヘンリー・ムーアやエルンスト、カルダーなどモダンアートの巨匠たちの彫刻作品がゆったりと展示されています。
建物は何回か増築を重ねており、各展示フロアが回廊で繋がっているのですが、その回廊もガラス張りで外の緑の景観を取り込んでいて、内と外とが融合する感じが日本の庭と建物の関係に似ていると言われてみると本当にそうです。
途中の窓からは緑の中にこんなおちゃめな石彫の作品たちが鑑賞できたり。
展示室でも大きなガラス張りの窓は魅力的な借景となって、より作品空間を心地よく引き立たせています。ずっと佇んでいたくなるようなシーン。
(和庭園の借景についてはこちらにも⇒Click!)
こちらはリチャード・ロングの作品。ジャコメッティの歩く男の彫像も同じような窓の展示室にあり、圧倒的に美しくて強い印象を受けました。写真がないのが残念ですが、本当に素敵な展示空間です。そうそう、昨年改装された地下鉄大手町駅の構内から大手の森を見上げる窓が、なぜかルイジアナ美術館のその窓枠とよく似た雰囲気なんですよね。通る度につい見入ってしまっています。
心地よさ、開放感とともに、非常にクオリティの高い世界屈指の近代美術コレクションのアート作品が何気なく展示されている、非常に贅沢な美術館です。しかもさすがに北欧デザインの本場だけあって、カフェなどもおしゃれ。
広々とナチュラルに、緑とブルーの美しいランドスケープとアートが調和する、ひらかれたサンクチュアリのような場所です。
ちなみに...美術館の敷地隣には、さらにこのような美しい緑の空間が広がっています。
なんだかフワフワと吸い寄せられるように入って行きたくなります。で、入って行くと広大な墓地があり、そして道に迷い、爽やかな初夏の午後ではあったのですが、なんとなーく背中がゾワッとくるような瞬間もあり、そそくさと、でも道に迷ったので右往左往しながら帰路についたというオマケつきでした(笑)。